少し前の仕事ですが、高知県梼原町にて天然記念物に指定されている千年杉のブレーシングをお手伝いさせてただきました。
ブレーシングとは樹木の倒伏を未然に防ぐため、樹木の上部に控え索(ひっぱり)を設置する作業です。寺社仏閣などで大木に巻いてあるのを見たことがある方がいるかもしれません。これまでは、金属製のワイヤーロープが主流でしたが、ロープの性能向上により欧米では繊維ロープがとって変わってきています。今回は「コブラロープ8t」を使用しました。繊維に変えることにより①樹木の成長(幹肥大)に対応できる②落雷の危険性が下がるーーなどのメリットがあります。
今回の千年杉は過去に頂部が欠損してしまいましたが、折れた部分で樹高約30m。幹周約8.5mの大物でした。地上からスローラインを投げて枝(太い!)にアンカーを設置して作業しました。樹上でコブラを持ちながら一周させる作業に思いのほか手こずり、クライマー2人でリレーすることでなんとかやりきりました。スケールの大きな木では普段と違った工夫が必要ですね。
登っていると、まるで単木のなかにまるで森があるかのうように樹冠が広く、様々な植物が着生して共生している姿が観察できて、貴重な経験でした。地域の方々に愛され、町のシンボル・文化財ともいえる樹木の保護に携わせて頂き、光栄に思いました。
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